赤外線カメラとは、温度を見える化するカメラです。あらゆる物体から放射される赤外線エネルギーをレンズで捕え、デジタル処理することによって、温度の状態を可視化してくれます。この可視化された赤外線の画像のことを「赤外線サーモグラフィ」と言います。
ドローンには、通常のカメラだけでなく赤外線カメラも搭載することができます。従来では難しかった人が入りにくい場所での赤外線撮影をすることが可能となり、見た目だけでは分からない、物体の様々な状態を知ることができます。
ドローンによる赤外線サーモグラフィーの活用方法
太陽光発電所
太陽光発電所で使われるソーラーパネルは、汚れや影、破損部があると異常発熱を起こし、発電効率が下がったり、パネルの故障にも繋がるため、点検作業がとても重要な業務です。通常、点検者がハンディの赤外線カメラを持ち、発電所内を歩きながら一つ一つパネルの異常箇所の点検を行いますが、規模が大きくると膨大な時間が必要となります。そこでドローンに搭載した赤外線カメラを使うことで、圧倒的な時間短縮を実現することが可能になります。
住宅・インフラ設備の点検
大規模な災害による住宅の被害や、インフラ設備の劣化などによるマンション・ビルの倒壊など、住宅・インフラ設備のメンテナンスが大きな問題となっています。そこで、 ドローンに搭載した赤外線カメラを使うことで、簡単に建物の調査・点検を行うことが可能です。赤外線カメラでは、ビル・マンションの外壁の点検や雨漏り箇所の特定ができ、工場・発電所・変電所・送電線などの屋外設備では、温度状況を確認することで、劣化や異常箇所の特定が可能です。
赤外線外壁調査とは
建築基準法に基づく調査において、国や地方自治体からも認められている手法です。
赤外線外壁調査は対象物との温度差を利用します。
外壁タイルやモルタルに浮きができると隙間の空気が温められる為、正常な壁面と比較すると高い温度分布を示します(日中の調査の場合)。日照が十分な環境で、かつ赤外線に関する豊富な知見と経験により正しい手法で撮影することにより高い信頼性を持った外壁調査を行うことが可能です。
赤外線外壁調査の活用場所
- ①ビル・マンションの大規模修繕・調査・積算
- ②12条点検
- ③雨漏り・漏水調査
12条点検(定期報告制度)とは
12条点検は、政令や特定行政庁が定める特定建築物の所有者・管理者に義務付けられています。(定期報告制度は、国が定めた建築基準法第12条に基づいて行われるため通称、12条点検と呼ばれています。)
検査には国が定めた有資格者が必要であり、弊社では在籍する一級建築士、一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士が、調査や検査の結果を所管の特定行政庁に報告しています。
12条点検の調査項目
建物外壁の調査 | 外壁タイルなどに亀裂、浮きなどがないか。 地盤沈下が起こっていないか。 雨水の排出は正しく行われているか。 |
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屋上部分の調査 | 防水仕上げ材に不具合は起きていないか。 漏水、雨漏りの要因となる劣化が起きていないか。地盤沈下が起こっていないか。 雨水の排出は正しく行われているか。 |
建物内部の調査 | 防火上の区画、不燃性能が必要な仕上げ材に劣化が生じていないか。 建築設備に不具合が生じていないか。 |
避難設備の調査 | バルコニーや階段などに設置された避難設備の操作に妨げが生じていないか。 避難経路の確保ができているか。 |
野生動物の生態調査・監視業務
近年野生のクマが出没するなどといったニュースも話題になりますが、ドローンによる赤外線カメラによる調査を行うことで、山の中に生息しているクマの調査を行うことで、事前に生態を把握できれば、突然野生動物と遭遇というような危険を回避することができるようになります。赤外線カメラの良いところは、温度を可視化するので茂みに隠れていて生き物も発見することができるところです。
遭難者の探索
現在、遭難者の探索などのレスキュー活動では、ヘリコプターを使った遠赤外線カメラでの探索が行われています。課題としては、出動までに時間がかかることと、出動のたびにかなりのコストが発生することが挙げられます。ドローンによる赤外線カメラの探索を導入することで、より早く、コストを抑えて探索活動、さらに人命救助を行うことができます。
精密農業
赤外線サーモグラフィーでは「農業の視える化」が実現できます。専用のカメラを搭載したドローンが農場の上空を飛行し、農場全体のデータを収集することで、現在の農作物の生育状況を調査することができるようになります。現在の作物の健康状態を知ることができれば、農作物の病気や害虫、肥料不足の箇所などを特定することが可能になります。 例えば、圃場や生育状況に合わせた可変施肥が可能になるため、倒伏を解消し、作物の品質、収量を向上することが可能になりますし、余分な肥料を使わないため肥料コストを削減することも可能になります。